離れててもどこかで繋がって

御三家をレベル5まで育てる仕事
テーマB:「ふじ」
編集済み
昔むかし、ある所におじいさんとおばあさんがにおりました。

おじいさんが山へ柴刈りに出かけると、昼間にも関わらず空が急に真っ暗になり、巨大な竹の姿に似ているポケモンが現れました。
見たことのないそのポケモンにおじいさんが腰を抜かしていると、そのポケモンは抱えていた小さな幼子をおじいさんに渡し、何も言わず天に帰って行きました。
そのポケモンが居なくなると、また空は明るさを取り戻しました。

おじいさんとおばあさんの間には子供が居なかったので、これは神様の授かりものだと信じ、2人は喜んで幼子を育てました。

やがて幼子は立派な娘へと成長し、その美しさは都の方にも噂が流れ、求婚を迫る男が押し寄せました。

しかし娘は、金持ちの男や顔のいい男には目もくれず、一度町で会ったというピクシーを連れたごく普通の男との文通に夢中でした。

なかなか結婚しようとしない娘を心配して、おじいさんとおばあさんは娘に話しました。

「娘や、そなたはもう嫁に行く歳。そろそろ結婚相手を決めてくれぬか。そうだ。お見合いをしよう。そなたの美しさに釣り合う男をわしが連れてきてあげよう。」

しかし、娘は黙って首を横に振るばかり。

「どうして、そんなに結婚を嫌がるのじゃ。」

おじいさんとおばあさんが聞くと、娘は静かに口を開きました。

「私は、この世界の者ではありません。先日、テッカグヤと名乗る竹のポケモンが現れて言いました。次の満月の日に迎えにいくと。」

竹のポケモンの事は一切娘には教えていなかったので、これはただ事ではないと思ったおじいさんとおばあさんは、テッカグヤを倒したトレーナーには娘との結婚を約束すると言い出し、実力のあるトレーナーを募りました。

当日の夜、たくさんの男達が自慢のポケモンを連れて家に押し寄せてきました。
そのトレーナー達の中には、ピクシーを連れた例の男も居ました。


ピクシーを連れた男は人目を盗んで屋敷の奥にいる娘の所へと行きました。娘から事前に手紙を貰っていた為、屋敷の構図は知っていたので、すぐにたどり着きました。
娘は男が現れてたいそう驚きましたが、また会えたことを喜んでもいました。
そして、男はここから一刻も早く逃げるように娘に言いましたが、娘はその場から動こうとしません。

「ごめんなさい、私には逃げられる場所など何処にも無いのです。もう迎えはこちらに来ている。」
「もう君とは会えなくなるのかい?」
「私もつらいです。あちらの世界はどんな場所なのかも私は覚えていないので分かりません。いつまた此処に戻れるかもわからない。けど…」
「けど?」
「それでもあなたが私を待ってくれるというなら、これを。」

娘が男に小さな壺を渡した時、それまで月明かりで明るかった空が急に暗くなり、あの竹のポケモンが現れたと外は大騒ぎ。
すると娘は外に出て、自らそのポケモンの元へと歩いて行きます。

「ピクシー!あのポケモンにムーンフォース!」

しかし、ピクシーの攻撃をもろともせず、竹のポケモンは娘を抱えると、他のトレーナーのポケモンなど目もくれず、夜空の中に消えてしまいました。

残ったのは、娘がくれた小さな壺一つ。

「彼女は、この壺の中身を不老不死の薬だと言った。けれど、彼女のいない世界で生き長らえる価値なんてないよ。」

男は、その薬を空にいる娘が一番見えるであろう場所に埋めることにしました。
そうして選ばれたのがシロガネ山の頂上で、男が薬を埋めた日も空には見事な満月が浮かんでおりました。

「君は僕をずっと空から見てくれているんだね。」

男が月に向かって手を振ると、男のピクシーも月明かりに照らされながら踊り始めました。

それ以来、ピクシーは満月の夜に踊るようになったと言われています。





「カントーにそんな昔話があったんですね…そんな前からUBの確認が…」
「UBはよく分からんけど、その薬を埋めたことから昔の人はシロガネ山をフジの山と呼ぶ者も居たみたいや。あ、興味持ったからと言って気軽にシロガネ山に行っちゃあかん!あそこは凶暴な野生のポケモンがうじゃうじゃしてるんやで。特にリーリエはまだトレーナーになったばっかりやし、そのイーブイもバトルはまだ慣れてない。」
「なら、いつか、アローラのチャンピオンと一緒に行きます。」
「ほお、アローラにもチャンピオンがいるんか。興味深いな。」
「ええ、そういえば、この間カントーのチャンピオンさんとバトルされたそうです。そのチャンピオンさんからシロガネ山のお話を聞いたと、お手紙がありましたよ。」
「ほぉ、それまたすごいな。よっしゃ、いつかそのアローラのチャンピオン連れてきてくれよな。」
「はい、いつか、アローラのチャンピオンさんとほしぐもちゃんも一緒に。」