生まれ出づる病、或いは断絶の話の感想

Pさん
評価:☆☆☆☆☆
詩にも似た独白の中、「なあ人間」と語りかけてくるその言葉の度に実際に鼓動が乱れていくのが分かるのですから恐ろしいものです。
ザングースに似た「白い毛皮に赤い稲妻」を見ると呑み込まずにはいられないように、仲間が死ねば悲しむ社会性も本能的なものであり、それを「不治の病」とするセンスに感服しました。
読後に自分のことを振り返らせる力に溢れていると感じます。
森羅さん
評価:☆☆☆☆
自分の「本能」「生理現象」故に起こってしまった事故。これを病というのは得て妙手です。ああ、そうですよね、そうなんですよね。別に彼は悪くなかった。自分に従っただけだった。自分を蝕む病の通りに行動しただけだった。それだけだった。最後に「もうおれは誰も呑まんからな。すまんかったな。」というのがもうね……確かにこれは「断絶の話」なのでしょう。そしてそこから視線は人間側に移り、ここまで心理描写だけだったのが一転状況描写がごっそり入ってるくるのが素晴らしいです。ここを読んでからもう一度彼の心理描写を読むと情景がリアルに見えてくるんですよね……!
Ryoさん
評価:スキップ
自作です。元々このフェスに参加する予定はなかったのですが不意に降りてきて5日で書きました。
「ふじ?不治の病?って何?恋かな?(*´ω`*)」が「いや、生命が生きたいと思うこと、生きることそのものが不治の病なのではないだろうか(・_・)」になった理由はわからない。
とにかくそうしたことをいろいろ考えているうちに檻の中で逡巡する蛇のイメージが現れ、書くことができました。
この作品は草野心平さんの「定本 蛙」の世界観、特に「ヤマカガシの腹の中から仲間に告げるゲリゲの言葉」という詩にとても強い影響を受けています。
お読み頂いた皆様、感想をくださった皆様、ありがとうございました!
フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆
生き物が背負っている、言うなれば『原罪』や『業』のようなものを『不治の病』になぞらえるセンスが素晴らしいと思います。
人間とポケモンの死生観、価値観の違いをきっちり描いているのが個人的にかなりポイント高いです。こういうのは考えると難しいのでだいたい人間と似たような価値観にしてしまいがちなので、それができるというのは本当にすごいなと。
ハブネークの語りも最後の人間の視点からも、やるせなさが溢れ出ていて本当に痛ましい。世の中の不条理を煮詰めたようで、本当に救われない、いい意味で後味の悪さを残してくれるお話でした。
照風めめさん
評価:☆☆☆☆☆
死亡:〇
属性:不治
舞台:不明
推しポイント:抗えぬ性。そしてやるせなさ
アオリ文:おい、人間。俺の言葉は届くのか
こういうの大好きです。ちょっとてやんでいな感じの語り口調。読んでて気持ちいいです。
それに独白部分は原則、一文毎に改行していっているのですがこれもまたリズムよく読めた一因だと思います。
ポケモンの生態故の悲劇。そして徐々に諦観していくハブネークですが、ここのセリフに痺れました。
> おれたちは病気を何より嫌ってるのに。
> 生まれてから死ぬまでこんな変な病気を肚に抱えて生きてんだよ。
たまんないですね。こういった哲学的な語り口、ぐっと心に響きます。
檻に閉じ込めれて何もできない。だからこそ考えるしか出来ない。このやるせなさがじーんと来ます。
他にも好きなセリフいっぱいあるんですが、それだけで枠が埋まりそうなので自重します。いや~好きですねえ。
最後の署長のすまんなあ、もグッときました。人とポケモン、どのように生きるか。
このやりきれなさがあるからこそ、考えてしまうんですよね。
今回は人とポケモンに関する話が多くありましたが、この作品は相いれられないもどかしさ。そしてポケモンではなく人間社会が主であるという面でズシンと響くように思います。
葉穂々さん
評価:☆☆☆☆☆
今際の蛇を苛む罪。
嗚呼、ハブネーク。
あきはばら博士さん
評価:☆☆☆☆☆
一読しただけでは分からず何度も巡回してようやく素晴らしさが分かるようになった。読者に何度も読ませてしまう魔力、これは良いものです。
乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆
ハブネークの性質を生まれ持った病とする視点、それからそれをどうしようもないものだと語る彼の口調、そしてこれだけ語るけれどもそのまま死んでいってしまう彼の空しさが一挙に押し寄せてくる作品でした。荒っぽいけど静かな語りがとても良い作品でした。最後の一言がすまんかったな、というのがまた良いですね。お互いにどうしようもなさを抱えていた、何ともやりきれないお話でした。ありがとうございました。
あすぺふさん
評価:☆☆☆☆
ハブネークの切ないお話ですね……! ハブネークと人間のパートに分かれていて良い作品だと思いました。
カイさん
評価:☆☆☆☆☆
ひとことひとことが、ものすごく、ずんずんと体に響き渡るような文章でした。
一読目は、どういう状況か把握するためにおそるおそる読み進め、ああハブネークか、うわあ人間の子供を呑んだのか、と黒い霧の払われた先にハブネークの死骸が転がっていたような、なんとも不気味な印象を受けました。
しかし二読目はハブネークの言葉が呪詛が、檻も画面も突き抜けて読者である私に向けられているような気がして、それでいてその言葉は妙に納得と共感ができるもので、そうだなあみんな不治の病を抱えて生きているんだなあと、その病にハブネークは殺されてしまったのだなあと、ちくちく心を刺されハブネークの死を悼む、そんな印象でした。
悲しくてしょうがないのに、とても良い話だったと思います。
そんな感想も、私の不治の病が生みだしたものなのかもしれません。
あまもさん
評価:☆☆☆
あらがえない本能から生まれた悲しい事故と、あらがえないやるせない結末に、思わず溜息がでました…。
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆
【褒めポイント】
・一文一文がズシズシ来るハブネークの独白
  噛みしめるような文体に圧倒されました。
・生理現象や本能=不治の病という解釈
  人間を呑んでしまったハブネークだからこそこういった考えに至ったのだろうと思います、秀逸と思いました。
・人とポケモンとの断絶
  署長の感じ取った感情も実際に通じ合っていない、そのあたりの寂寥感、やるせない感触を引き出すのが上手いなあと。
【指摘ポイント】
・独白がどういう状況だったのか見えない
  「もうおれは誰も呑まんからな。すまんかったな。」という独白と「毒蛇は檻の中でこの世の終わりとばかりにのたうち回り」という部分にミスマッチを感じてしまったがゆえに、独白がどういう状況で為されたのかが見えてこなかったです。
【総評】
 独白の文章表現に舌を巻きました、☆4つ付けさせていただきます。
小樽ミオさん
評価:☆☆☆☆☆
 最大の魅力はハブネークの静かにひとつずつ紡ぎだすような語り口にあったと思います。他の人が同じ題材で描いても同じにはならないでしょう。それくらい語句や助詞の使い方に細やかな気遣いがされているように思いました。たとえば「おれがしでかしたことは。/おれの頭で考えたのでない。/おれの生理がやったのだ。」という部分でがっしりと心を掴まれたのですが、ここは「おれの生理がやったのだ。」という表現以外がよかったとは思えないのです。「おれの性格のせいだ」とか「おれの生理がやったんだ」とかでは響きが軽すぎてダメなのです。「おれの生理がやったのだ。」という、口語らしからぬ重たい響きにこそ、彼が狭い檻の中で内省を繰り返し苦しんだ気持ちが篭もって伝わってくる気がします。
 ぽつりぽつりと彼の呟く言葉は、自分の生理ゆえに自分を破滅に追い込んだことや、図らずも人間を飲み込むという取り返しのつかない所業に対する懊悩や悔恨の念がにじみ出ていて、ずしんずしんと心にのしかかってきます。物を言うことなく、蛇の瞳だけが何かを訴えかけてきている様子が容易に想像できました。言葉でうまく説明できないのですが、これが「物語する能力」なのだと思います。ある題材をそのまま説明したのでは新聞記事と変わらない。そこに感情の昂ぶりや鬱屈を発露させられる人が、物語ることが上手な人なのだと思います。この作品はもちろん綺麗で美しかったけれど、作者さんはこの作品以外を書いてもきっと上手なのだと確信できます。とても読み応えがあり、自分の中でいつまでも大事にしたい作品だと感じました。
北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆
 不治の病か。どんな生き物も、誰もが穏やかな生を過ごしたいはずなのに、それを不可能にする呪詛のような不治の病を、皆患って生まれてくるのか。
 哲学的な蛇さんですね……。蛇さんパートの、ずどん、ずどん、とひとつずつ腹に刺さってくるような文章も、終盤の遣る背無い悲しみを纏った静かな文章も、どっちも重苦しくて美しくて、素晴らしかったです。生理反応と言う抗いがたいものに、こんな視点から向き合わされると、ええと……言葉が出ないです。なんで蛇さん死んだんかが正直分かっていないのですが(本当にすいません)、そんなことどうでもいいなと思うほど、力強い作品でした……。
 『不治』というテーマの取り扱いが他と一線を画していて、一本びしっと鉄骨が通ってるような芯の太さを感じました。大変興味深く読ませていただきました。なんたって文章が好きだ。〆の一文もすごく良かった。ごちそうさまです。いっぱい感想が書けなくてすいません。ちょっと圧倒されすぎてしまったぜ。

■投票時追記
 あれですね、蛇さんがこんなに語りかけている事は、人間たちにはひとつたりとも伝わっていない。んですね。なんかこう……辛くなりました。そうだよなあ。
 他読者様に考察をお伺いしたんですが、やっぱり蛇さんがなんで死んでしまったのかよく分からなくて引っ掛かってしまいました。最初は丸呑みした人間が大きすぎて臓器圧迫したのかとも思ったんですが、ザングース食らうんだから違いそうな気もします。赤い稲妻みたいな服を着ていた人間ということで、服の成分とかが消化できなくて死んでしまった説が一番しっくりくるかなとも思ってます。赤い稲妻に殺される、という文章をそのまま解釈するならそうなりますね。
 いやまあ、分からなくてもいいんですけどね。無粋ですね。無粋です。分からなくてもいいんです。この作品は、これでいいんだ。
紫雲さん
評価:☆☆☆☆☆
 ポケモンの思考を描写するのは難しい。ただ何も考えずに書き綴れば、それは人間味を帯びてくる。だのに、このハブネークは人間を丸呑みにした正しく大蛇だった。ポケモンの例え方にしても、人間への語り掛けにしても。ああ、こいつはこういう考えを巡らすのだなと自然と納得がいく。それだけで満足なのに、人間の業の遣る瀬無さに思い至らせることには、思わず天を仰ぐより他ありませんでした。
円山翔さん
評価:☆☆☆
 よだかの星の一節を思い出しました。よだかはカブトムシを呑み込むんですが、のどに詰まったような感じがして……というあいまいな記憶の中でしかありませんが。表現の仕方が多彩で、私にとっては見たことのない表現がたくさん使われていて。とても勉強になりました。
 生まれついての天敵。それを、ポケモンはいかにして判別しているのか。今回のハブネークが人間を呑んだのも、ザングースのような模様の服装をしていたからということでした。ああ、このハブネークは見た目で、色で、模様で、形で、判断したのかなぁと思うと、もっと別の判断の方法があったのではないかなぁとも思いつつ仕方のない事だよなぁと思うのです。自然界の摂理は変えることができません。遺伝子を組み替えても、その記憶は根強く残ってしまうものなのかなぁと。
逆行さん
評価:☆☆☆☆
 なんだろう。どこが巧いのか分からないけど文章巧い気がします。この惹き込まれる感じは中々に新鮮でした。
 特にこれと言って物凄いことをやっている訳でもないけれども、ハブネークの独白が矢鱈と面白かったです。
 不治の病というものの悲壮感。本能っていうのは残酷ですね。人間を呑み込んだ以上は処分されるのは仕方がないし、ハブネークが語っていることはただの「言い訳」であるとも捉えられますが、だからこその哀愁が感じられます。とっても良いです。
 子供の遺体を遺族に返してやれることがせめてもの救いなのでしょうか。しかし死んでしまった以上肉体が残っていようがいまいが、遺族には救いは無い気がします。ポケモンに喰われる事件というのは、あの世界では日常茶飯事なのかもしれませんが……。
 ハブネークを処分しようとする人間はハブネークに対して多少憐れみの感情も抱いていましたか、子供を殺された親はハブネークに対して憎しみの感情しか抱かないでしょうね。絶対にハブネークを殺してくれと思うでしょう。やはり処分はやむを得ないのでしょうね。
はやめさん
評価:☆☆☆☆☆
 すごい作品は逆に圧倒されて何を書いたらいいか分からなくなってしまうのですが、☆5ということでこの作品もそうでした。
 ぽつぽつ、そんな擬音が似合いそうです。
 檻の中でのたうち回りながらも、無音の中で暴れているかのような錯覚。
 ひとつひとつ、ハブネークの語りを咀嚼して、味わいたくなります。語りだけでここまで芸術的に仕立てるのはもはや技の域ですね。
 そして、人間とポケモンの見解や考え方がほぼ共有されず、一方通行な様がなんとも言えない余韻を出していました。
 作者様の地力を感じる作品でした。あまりうまく言葉に表現出来ず恐縮ですが、本当に面白かったです。
まーむるさん
評価:☆☆☆☆
voreがまた来るとは思わなんだ。でも、ハブネークの心象描写は良かった。
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆
浅夜&とまとさん
評価:☆☆☆☆
レイコさん
評価:☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆
砂糖水さん
評価:☆
えびフライさん
評価:☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆☆☆
灰戸さん
評価:☆☆☆
さつこさん
評価:☆☆
空色代吉さん
評価:☆☆☆☆
586さん
評価:☆☆☆☆
織田秀吉さん
評価:☆☆☆☆☆