風の日の桃色ふわりの感想

はやめさん
評価:☆☆☆☆☆
>検索しても何も出なかった紗枝と同じで、褒められも貶されもしない、小さな存在。そんなものに希は、淡く、仄暗い期待をしていた。批判が飛び交うお祭り騒ぎになればいいと、どこかで願っていた。
(中略)
>希は確かに、何かを攻めることの愉しさを、知ってしまった。それは対象の規模に関係しない。
>そして最後には後悔することも、希は思い知った。
 なるほど(感嘆)
 人間の心情表現で一番共感出来たのは、今大会でこの作品でした。
 いやはや、屈折した感情や誰しもが抱えているであろう鬱憤を言語化して、着眼点もさることながら、展開の中に興していく様にとてつもない力量を感じました。
 なんか、ネットの炎上事件を観て楽しんでいる姿と当てはめてしまいますね……。炎上を愉悦に思う人って何かしら満たされてないのだろうか。ただ自分にもそういう節が無きにしも非ず、ですので、これも一つの醜い人間らしさでもあるのかなとふと考えてしまいました。

 希さんの他人事感溢れる態度、嫌いじゃないというかむしろ清々しく好感さえ持てます。
 ただ人間関係、複雑怪奇なもので、ああ言った手前、彼女は今度からやりにくさを感じるでしょうね……。
 一時の感情と浅はかな正義感で動くのは愚鈍な選択だ、と。そういう風にも思います。
 いや、でも、これは希さんだけじゃなくてネットを利用したりニュースを観たりする我々に関わることなんでしょうね。ふと気になりましたが、作者様はこのお話に書かれていることに関して、日頃から関心を持たれているのでしょうか。
 その辺を厳しく突きつけられている気がして、どこか背筋に恐ろしさを覚える作品でした。私は問題提起型の小説に弱いので、面白かったです。
Pさん
評価:☆☆☆
風の日の「ハネッコ飛ばし」に吹く逆風の気配と、それを取り巻く風当たり。風というのはとかく比喩表現に使われることの多いものだということ、それによく火事を煽りますねというのも思い出しました。ラストのオニスズメなども含めた暗喩、お題「反比例」を絡めた直喩の双方において表現に富んだ作品と思います。
また主人公の悪意の書き方がかなり生々しく、非常に人間的かつリアルに書けていると思います。思わず我が身を振り返ってしまったり目を背けたくなる念に溢れている。
トビさん
評価:☆☆☆☆
美しい背景の表現と 振りかざされる行き場のない正義悪意が交じり合った心情とが交じり合って 独特の作風になっていますね この短い文字数の中にそれを入れ込んで お話として一つの着地点を示しているのは素晴らしいと思います
ドロドロした感情を抱える振り切ったキャラクタであるにも関わらず 希の感情に置いていかれるという事もなく むしろ「よくここまでこのキャラクタを描ききったなあ」と思わされました 行政側とジャーナリスト側どちらの考えも共感でき 尚且つ反比例の使いどころである世への影響力であるとか 自己満足と批判の違いであるとか そういう所までしっかりと描かれている 大変読み応えのある作品でした
フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆
社会正義を求めることと、それで秩序を乱すことのジレンマを描いた社会派の一作。
希の心の動きが凄くリアルでいいなあと思います。職員を追求する時の高揚感、それは単なる自己満足だったのではないかと考える後悔、そしてその合間で心が揺れ動く最後の葛藤。社会問題を考えていると、こういう事ってよくあります。でも自分のやっていることは正しくないかもしれない、と顧みることができる希はきっといい人なのだろうなと私は思いました。
声を荒げる少数派の比喩となっているオニスズメの立ち位置もすごくよかったです。圧倒的多数のハネッコを前に委縮してしまうけれど、最後は再び声を荒げ始める。この描写にも、希の葛藤と同じような、色々な感情が籠っているように感じました。
照風めめさん
評価:☆☆☆
死亡:×
頻度:ラジオ5 上昇気流2 〇反比例3
舞台:不明
推しポイント:痛烈なアイロニー。
アオリ文:はじけ飛ぶ桃色。歓声と拍手に溶ける、淡い悲鳴
本企画で二番目に反比例の登場数が多い作品です。
これまたきつい作品ですね。SNSの正義と言う名の暴力性。そして地方という狭さが作り出す閉塞感。
どことなく現実の我々にも近い世界観から、この手の作品が現れるとは! ハネッコジャンプと違ったある種の逆カタルシス感が対比になっていると思います。
>市の広報用のSNSを開くと、真下から撮られたハネッコたちの写真がすぐに現れた。いいねの数はさほど集まっていない。
これきついっすよね。わたしもこうしたイベント屋の端くれでして、ポケストフェスやるってなったときも結構これを恐れてました。お陰様で今回は結構広く認知され、投稿していただけたと思います。
やってみないとわかんないけど、やってこれだと本当に胃が痛いんですよね。
さて、おそらく作者の方はこの作品が賛否両論の話題を提示しているのを承知で書いている、という前提の上で私が直接感じたことを書かせていただきます。(そうでなかったら本当にごめんなさい)
すみません、希のキャラがどうも好きになれませんでした。
個人的には自分ではどうしようもならない、社会の波のようなものに抗いたい。でも、出来ないから役所の人にやつあたりをする。めんどくさい人だなと思わざるを得ませんでした。そのせいで役所の人に同情したくなってしまいました。
後で自分を悔い改めていますが、社会人。それもキャリア一年目でない人がやるのか、という疑念が残りました。地元高校生の放送部員、とかならまだ分かる気がしますが……。
ですが、人間の攻撃性をうまく捉えられてるなと思いました。最初はハネッコが減っていることに対しての批判が、後は行政の資金運用に関する批判へとスライドしていて、叩きたい相手であればその理由はなんだっていい。
一見理論が崩壊しているようですが、一貫した人間性の書き込み方は上手いと思いました。
淡く儚げなハネッコ達の描写は本当に丁寧かつ残酷なほど綺麗で、舌を巻きました。
乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆
人を攻撃する快感を味わうための批判は、後で自分を苦しめるだけなのだ……と学んだだけ、希は賢くなったのかもしれません。大きな痛みを伴いましたが、人として成長したのかな。もう色々とこの業界でやっていくのはキツイかもしれませんが。読めば読むほど、良さが分かってくる作品でした。
あきはばら博士さん
評価:☆☆☆☆
一度住んだらそこから出ることが無い池の魚と違って、風が吹く限り棲処を変えるハネッコの遺伝子汚染は言いがかりじゃないかな…… そうした主人公のズレを踏まえての作品なのでしょうね。
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆
ハネッコ人気だな……(
>ンズタタタとコピー機が身震いした。
音の表現が好きです。
始まりがすごくきれいだなあ、と思わせてのさあ。
メダカでしたっけ、話題になりましたよね……。
心にチゲが刺さってちくちくするような話だと思いました。
あまもさん
評価:☆☆☆☆☆
まず主人公たちの設定と着目するイベント、日常の一部を切り取ったような描かれ方、本当に好きです。はじけ飛び空に膨らんでいく桃色のハネッコの景色、見たいです……。
カイさん
評価:☆☆☆☆
これはなかなか不思議な印象を受けました。
タイトルも情景もとても穏やかなのに、穏やかではないものが隠れていて、でもやっぱり日常をつづった物語で。オニスズメの騒ぎ声だけが頭の中で反響する、そんな読後感でした。
三題の存在感が薄すぎず濃すぎず、それぞれが良いキーワードになっていてとても上手いと思いました。
Ryoさん
評価:☆☆☆☆
この爽やかなタイトルで、この一見和やかで楽しげでしか無いイベントで、その裏にあるものは、劇物。
美しい色とかぐわしい香りを形成するために混ぜられた、どろどろのおぞましい何か。
例えばシャンプーやリンス、洗剤、お菓子などがどうやって作られているのか。消費して捨てた先で何を破壊しているのか。
もしそれらが恐ろしい環境破壊をもたらしていることを知ったとして、それらを使わない選択があるのか。そんな事を考えました。
この規模の小ささが本当にリアルだ。市の職員くらいしか来ないイベントのためにどこからか買われてくる(!)ハネッコ達。
義憤、とすら呼べない鬱憤晴らし。ラジオ局も市も、どこから来るかもわからない攻撃に怯えながらも、何も変わらないまま始まり、終わるイベント。
そんな中にほんの微かな変革の予感、希の迷いを感じさせながら終わるのが本当に上手いと思います。
SNSへの投稿は鬱憤晴らしなのか、義憤なのか。見なかったことにできるのか。自分は一体、何ができるのか?
明確な答えを読者に提示せず、ただ、黙殺される少数派――オニスズメの言葉無き声で終わるラストシーンは、
何か形ある回答を示すよりずっと強い印象と沢山の問いを読者の心に突きつけていて、その後を引く痛烈さがこの作品の最大の良いところだと思います。
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆
【褒めポイント】
・穏やかな情景の裏の、希さんの悶々とした感情がすごくリアル。
  市長が転げ落ちれば中止になるのに、みたいなところは、同じ立場同じ考えなら共感できるものと思いました。ンズタタタとコピー機が嗤うという表現も好み。
・ハネッコ飛ばしの描写
  冒頭に持ってきた文章を最後にも持ってきて、希さんの内面と代わる代わる書き出すというスタイルがすごくいいと思いました。シャボン玉と劇物の液体との対比が秀逸。
・SNSでの攻撃という主題を上手く取り扱っている
  オニスズメとハネッコとを少数派と多数派とに例える部分は巧いと思いました。
【指摘ポイント】
・SNSでの攻撃と実際に起こっていることの乖離
  紗枝さんや和寿子さんのハネッコ飛ばしに対する印象の好悪が分からないがゆえに、希さんの考えが独りよがりなのか誰かとの同調なのか分からないがために、希さんのスタンスがいまいち見えてこない、といったところです。須田さんへの攻撃も希さん一人のものでしたし、SNSでの「大多数の声で少数の声を潰す」という部分から離れてしまっている気が。
【総評】
 描写の綺麗さと感情のリアルさを評価して☆4としました。
森羅さん
評価:☆☆
「ンズタタタとコピー機が乱暴に嗤った」いや、この表現が好きです。良いですね。遺伝子汚染の話はなるほどと思いましたし、それに対するもやもやを口に出せる勇気が結局出てこなかったのも人間臭くていいな、とは思いました。ただ、市役所の人にいい年をした(しかも仕事で来ている)メディア関係者があそこまでその場に任せて攻撃することを楽しむための攻撃するのはちょっとなあ、とすみません。思ってしまいました。
小樽ミオさん
評価:☆☆☆
 考えさせられるところが多く、また全部は理解できていないだろうと感じた小説でした。
 希さん本人にも未だ答えはなく、その感じは道徳の教科書の教材を思い出しました。物語の枠内では終わらず、物語が投げかけた疑問に対しもう一段(自分で・みんなで)考えて理解を深めるステップが待っている。その意味で物語の深みや広がりがありますが、同時に自分の中で(物語が投げかける)疑問を消化しきれなかったという思いもあります。
 一周目と二周目で見え方が変わってくる冒頭部の印象が強烈です。前情報のない一周目はタイトルと相まってほんわかとした印象だったのが、希の物語を読んだ後の二周目では歯を食いしばるような希の思いが重なった印象に。恐らく希のような考えを持っていない(物語の中の現地の)人間には、飛び上がっていくハネッコはただただかわいらしい姿で見えているんでしょうね。そうした自分の立っている考え方の違いで同じ物事の見え方が変わってくる、という示唆を感じました。ぶくぶくと泡立つシャボン玉も、最初は子どもが吹くシャボン玉を思い浮かべていたのですが、二周目以降は「汚染」との繋がりで川に泡立つ住宅用洗剤のシャボン玉にしか見えなくなりました。この辺りは巧みに工夫された構成だったと思います。
紫雲さん
評価:☆☆
 環境やら騒音やらで縮小したり、廃止となるお祭り。容易く拡散され簡単に批判のできるSNS。現代の日本社会を風刺しているかのような作風は、希が思い至った思考にも似ているように思いました。ただ、もう少しポケモンの描写が欲しかったなと思います。
円山翔さん
評価:☆☆☆
 正義とは、いったい何なのでしょうね。周りの声や言葉を見たり聞いたりして時々考えます。そしていつも答えは出ません。誰かにとっての希望は誰かにとっての絶望。その逆も然り。タイトルのふんわりとした雰囲気とは裏腹に、人間の黒い部分がよく現れていて。しかしどちらが正しいとかそういうことは言えなくて。いくら強い存在でも、大勢に集られれば弱く脆いものなのだと。そう、感じました。だからこそ、ひとりになったときに荒れてしまうのかなぁ、なんて。希さん然り、オニスズメ然り。
逆行さん
評価:☆☆☆☆☆
 ポケストフェスのお話の中で、ポケモン小説の王道から最も遠く離れた小説であると感じました。
 この着眼点の鋭角さといいますか、斜めから斬り込んでいる感じは、中々他の小説にはない特徴であると感じます。環境問題に関わるポケモンの行事。それが減って欲しいからネットで叩かれることを望む主人公。こんな話は読んだことがなかったです。
 昔から根付いた風習や行事というものは中々止めることができないものですよね。例えば土用の日に食べるウナギとか、ウナギが絶滅危惧種に指定されても未だに食べる文化が日本に根付いてしまっている。そういったものに着眼点を置き問題定義するというのが、非常に現代的でした。
 最後にオニスズメが暴れて不穏な感じで幕を閉じたのも良かったです。
 この主人公も決して善人ではないというのも良かったです。自分で抗議したりとかは一切せずに、他力本願で、他の人に非難してもらうことを望んでいる。情けない感じではありますが、自分的には非常にリアリティを感じました。
>>……市長が風に押されて丘から転げ落ちればいいと、希は思う。ハネッコに特別な思い入れはないが、そんなことを願う
 このあたりの感情描写なんかキレッキレですね。主人公の性格をよく表していると思います。
 このお話は最後に明確な結論が出ないまま終えてしまって、そこは賛否両論でる所でしょう。自分はこの結末でも良かったんじゃないかと思います。というのも、このお話では結論を出さないことによる後味の悪さが、より一層読者にテーマを考えさせるのに一役買っているからです。もちろん続編等で結論を出して頂けるのなら、それはそれで喜んで読みにいきますが。
 いやあ、しかし誰なんだろう作者さん。これはもっと作者さんの他の作品も読みたくなりますね。もっと別のテーマの話も読んでみたいです。
北埜とらさん
評価:☆☆☆☆
 この作品にどんな感想を書けばいいのか、本当に分かりません。取り扱うテーマはあまりに身に迫るもので、そのうえ答えが提示されないまま幕を閉じる。私個人としてこのテーマについて考え意見を述べることは出来るかもしれませんが、それを感想と呼んでいいのかは疑問です。とにかく、ハネッコはかわいいんだよなあ……。
 ハネッコが舞い上がるシーン等、随所に光る描写が見受けられて、読みやすいのに凝った文章だなあというイメージを受けました。
> ンズタタタとコピー機が乱暴に嗤った。
 これがめっちゃ好き。今大会で一番印象に残った文章を一文だけ挙げろ、と言われたら、私は間違いなくこの一文を挙げます。
 この、義憤っていうか、正義感にかまけて、何かを攻撃したい、っていう感覚は、リアルですごい分かるし、あるあると思った読者も多いんじゃないでしょうか。どきっとしました。SNSやってると特にそうですよね。大衆になって悪しきものを叩いていれば、自分が良いことをしているような満足感を得られるし、強くなったような気になれる。ミス〇ルの彩りという曲のBメロを思い出しました。『今 社会とか世界のどこかで起きる大きな出来事を 取り上げて議論して 少し自分が高尚な人種になれた気がして 夜が明けて また小さな庶民』。攻撃した気になって、世間を動かすことなどこれっぽちもできず、挙句後悔している希さんは、まさしく小さな庶民であると感じました。
 私が不思議だなと思ったのは、希さんがSNSでなく現実の相手と対面して攻撃し始めた点です。SNSで攻撃するなら、なんというか、あるやろなと思えるんですが。ローカル局といえ任されている仕事は下働きという感じでもなく、『中年女』という表現もあることから、彼女はそれなりに社会人経験のある大人なんだろうなと推察できるのですが、大人の行動にしては役所でのシーンはかなり軽率がすぎるように思います(個人的には)。シナリオの都合で動いているような印象を受けました。例えば希さんが、仕事や家庭に大きな悩みや不満を抱えていて~というバックグラウンドが提示されているなら、ストレス溜まり過ぎてヒステリー気味なんかなと想像もつきますし、あるやろなと思えます。だが実際には、
> 地元のイベントを極めて好意的に扱わなければならないローカルラジオの息苦しさに、希は嫌気がさした。
 この部分まで、特に社会にも生活にも不満を抱いているような様子は見つけれず、ここでポッと出てきた義憤にかられて現実仕事に支障をきたすような行動を取ってしまうのは、ちょっと不自然かなあと感じました。更年期とかですかね(失礼)。
 取り扱うテーマの重さと、ハネッコの軽やかさが、良い感じにアンバランスでとても素敵だと思います。反比例の使い方が大好きです。最後、誰かがふっかけたコメントによって、また新しい義憤が沸き上がって、葛藤して、オニスズメが暴れて終わるのが、またすごく良かった。静かだけれど凄みのある作品でした。
葉穂々さん
評価:☆☆☆
SNSでの炎上騒ぎが苦手な私としては、読み進めるのが苦しい小説でした……
ですが、ハネッコ飛ばしの雰囲気は素晴らしかったです。青空、涼しい風、出店、袋でそわそわするハネッコたち。そして桃色ふわり。
脳内に光景が再生されましたよ。
浮線綾さん
評価:☆☆☆
浅夜&とまとさん
評価:☆☆☆
ステイルさん
評価:☆☆☆☆☆
レイコさん
評価:☆☆☆☆
rairaiboさん
評価:☆☆☆
まーむるさん
評価:☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆
あすぺふさん
評価:☆☆☆
風間深織さん
評価:☆☆☆
えびフライさん
評価:☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆☆
久方小風夜さん
評価:☆☆☆
灰戸さん
評価:☆☆☆☆☆
さつこさん
評価:☆☆☆☆
空色代吉さん
評価:☆☆☆
586さん
評価:☆☆☆☆
織田秀吉さん
評価:☆☆☆☆☆
穂風湊さん
評価:☆☆